赤ちゃん星と暗黒星雲がぶつかったら
2023年6月19日

物質とエネルギーがぶつかると不思議な花火が生まれるって知ってました?地球上ならばこの花火は、大空いっぱいに広がるかがやくオーロラや、ものすごいいなずまに見えます。いったい宇宙でならどうなるのでしょうか?

天文学者たちが最近チリのセロトロロ汎米(はんべい)天文台で米国国立光赤外線天文学研究所のダークエネルギーカメラ (DECam)を使っておおかみ座3分子雲という名前の、こう星を作る大きな星間雲を撮影(さつえい)しました。おおかみ座3分子雲はおおかみ座の頭のあたりに位置していて、距離は地球から500光年です。おおかみ座にはいくつかあだ名があって「オオカミ」「宇宙の不思議の国」「はげしいしょうとつの国」などと呼ばれています。

おおかみ座3分子雲のちょうど真ん中に二つの青い赤ちゃん星があります。それぞれHR 5999 と HR 6000で、星のゆりかごから生まれたところです。明るい若いこう星や生まれたてのこう星のエネルギーはひじょうに強く、近くに広がっている星間雲やガスを照らします。すると雲もこれらのこう星からの光を反射して不思議な反射星雲を作ります。この二つの青い赤ちゃん星から出たエネルギーが作り出したまぶしくかがやく青い反射星雲はBernes 149(バーンズ149、バーネス149)と呼ばれています。

この二つの赤ちゃん星はおおかみ座3分子雲のチリの多いところで成長しました。生まれてからまだほんの100万年くらいですが、おおかみ座領域ではHR 5999 と HR 6000 は一番年上だということがわかっています。これらのこう星のエネルギーのもとはおもに、内部で重力によって押しつぶされて高温になった物質です。私たちの太陽とちがって核ゆう合によるエネルギーを使っているのではありません。これらのこう星はやがてばく大なエネルギーをためこみ、ついには近くにあるガスやチリを吹き飛ばして光りかがやくバーンズ149を作るのです。

天文学者たちは、この画像から星形成が活発におこなわれている領域を研究することは、おおいに役立つと考えています。またおおかみ座3分子雲のエリアからは、こう星が生み出される初期の段階の研究に関する重要なヒントも得られます。

画像:二つの若い小さな生まれたてのこう星HR 5999 と HR 6000が近くにあるちりを明るく照らし反射星雲Bernes 149を作り出しているところ。9個もの暗黒星雲が合わさった大きなかたまりの一部である、おおかみ座3分子雲の暗いチリの雲からこれらのこう星が生まれ出てきます。

クレジット:CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA/ T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab)(アラスカ・アンカレッジ大学/米国の国立科学財団(NSF)の国立光学赤外線天文学研究所(NOIRLab) 画像処理:D. de Martin & M. Zamani (NSF’s NOIRLab) (米国の国立科学財団(NSF)の国立光学赤外線天文学研究所(NOIRLab))

知っ得ダネ

おおかみ座3分子雲は宇宙に広がる広大なガスとチリのかたまりです。地球から見ると、巨大なシーツのように宇宙に広がっていて月24個分もの広さをおおいかくしています。その中にあるよく知られたこう星にTタウリ型星がありますが、これはおおかみ座3分子雲から出る物質を食べて、いつか立派な大人の星に成長するのです。

This Space Scoop is based on a Press Release from NOIRLab .
NOIRLab

この記事はアメリカの立光赤外線天文学研究所(NOIRLab)の報道発表によります。

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