南米チリで星誕生の美しいジェットがかい間見えました
2022年1月31日

恒星(こうせい)のジェットについて聞いたことがありますか?ジェットは恒星が生まれる時にふつうに見られます。天文学者は、それらがうず巻く若い恒星の出す磁場(じば)とそれらのまわりのガスの円ばんの磁場がおたがいにぶつかりあって生まれると信じています。この時写真のように、高いエネルギーによって電気を帯びてイオン化したガスの巨大なかたまりがジェットのように反対方向に伸びていきます。

ここに見られるおどろくべき画像は、チリのアンデス山脈のはしっこにあるジェミニ南望遠鏡を使って、天文学者のチームによってとられたものです。MHO2147という名前がついたジェットは、地球から約1万光年はなれていて、いて座へびつかい座の間にあります。

恒星のジェットの形は、それを作りだすもとになる恒星によって大きくかわります。MHO2147ジェットの場合は、もとの「母星」となるIRAS 17527-2439が赤外線だとでも黒く写ってしまう雲のうしろにかくされているため、暗すぎて見えないのです。ここは、赤外線ですらたいへん通しにくい高密度ガスで満たされた冷たい場所なのです。

MHO 2147は、川の流れのような形をしています。これはジェットの方向が長い間に変化してきたからで、少し「S字」のようになっているのは、中央の恒星がずっと出している光に押されたためです。また、ジェットの方向が変化したもう一つの理由は、MHO2147の中心星であるIRAS17527-2439に重力をおよぼす近くの別の星によってもなされた可能性があります。

全体として、IRAS17527-2439星は、三つの星が3千億キロメートル以上はなれて、おたがいをグルグルまわる三重星系を作っているとも考えられます。

画像提供: ジェミニ天文台 / 米国国立科学財団/国立光赤外線天文学研究所 / 全米天文学大学連合。 謝辞:画像処理:TA レクター(アラスカ大学アンカレッジ校/ NSFのNOIRLab)、M.ザマニ(NSFのNOIRLab)、D.デマーチン(NSFのNOIRLab)主任研究員:L.フェレロ(コルドバ大学)

知っ得ダネ

この画像を作るために、天文学者はジェミニ南補しょう光学装置(GSAOI)を使いました。補しょう光学装置とは、星がぼやけたりきらめく大気のみだれを補ってクッキリ見えるようにした天文観測に使う技術です。このビデオ(ただし英語)では、その仕組みについて説明しています。

This Space Scoop is based on a Press Release from NOIRLab .
NOIRLab
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