過去のばく発、きょりを見直し
2020年11月25日

天文学者たちは常に新しい発見をしています。そして時には、科学者が知っていると思っていたことを見なおす発見があります。

信じられていた以上に遠くに

ハワイ島マウナケア山頂のジェミニ北望遠鏡を使って、天文学者たちの国際チームは、こぎつね座CK星が以前に考えられていたよりも約5倍はなれていることを発見しました。

こぎつね座CK星が最初に見つかったのは、1670年に明るい新星としてばく発した時でした。今回のジェミニ北望遠鏡の観測では、こぎつね座CK星が考えられていたより遠くにあるとわかったので、科学者がこれまで考えていたより大きなばく発だったということになります。 

この結果、どのようなばく発が起こったかというたくさんの疑問が新たに出てきました。天文学者たちは、このばく発は重い星が死ぬときにおきる超(ちょう)新星ほどには明るくなかったと考えていますが、よく知られている新星のばく発よりはずっと明るかったのです。

赤い方にずれる? 青い方にずれる?

この天体がもっと遠くにあるとわかったのは、天文学者がこの星から出たスペクトルを調べた結果からでした。星までのきょりを調べるために、星から出てくる光をにじ色の帯に分けたスペクトルを観測し、星にふくまれる原子の元々のスペクトルが赤色の方にずれる赤方偏移(せきほうへんい)の大きさから、天体が思っていたよりもはるかに速く広がっていることがわかりました。

これは、救急車があなたに近づいているか遠ざかっているかによって、サイレンの音色(ねいろ)が変化するように、宇宙の天体は、観測している人に近づいているか遠ざかっているかによって色がずれます。地球から遠ざかる天体が赤色にずれることを赤方偏移といい、近づいてくる天体が青色にずれるのは青方偏移(せいほうへんい)といいます。

画像提供:ジェミニ天文台/ アメリカ科学財団の国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab) / 全米科学財団(NSF) / 全米天文学大学連合(AURA)
画像処理:トラビス・レクター(アラスカ大学)、マディ・ザマニ、ダビデ・デ・マーチン

知っ得ダネ

フランスの修道士で、ヴォワチュール・アンテルムが、350年以上前にこの明るい新星がピカリと光ったのを見たとき、この星は北極星とほぼ同じくらい明るくなったそうです。それが、1年後に見えなくなるまで、当時のおもな天文学者たちが観測していた記録が残っています。

This Space Scoop is based on a Press Release from NOIRLab .
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