AIで最初の星さがし
2023年4月25日

むかしむかし、地球のあちこちに、恐竜(きょうりゅう)がいました。見たことも会ったこともありませんが、私たちは化石から恐竜がどんな生き物だったかを知っています。人工知能 (AI) を使って、天文学者の国際チームは、宇宙で最初に生まれた「初代星」がどんな星だったかの手がかりをつかむため、星の中でも化石のように古い星を調べました。その結果、初代星はひとりぼっちではなく、集団で生まれたことがわかったのです!

ビッグバンの後、宇宙にある元素といえば、水素とヘリウム、そしてリチウムでした。もっと重い元素(例えば炭素、ちっ素、酸素)は星の内部で作られました。中には、重い星が一生を終える時の超新星爆発(ちょうしんせいばくはつ)でできた元素もあります。天文学者はずっと、リチウムより重い元素をこの宇宙で初めて作った初代星を探し続けています。しかし、初代星はみんな、超新星爆発を起こしていなくなったかもしれないので、見つけるのがとても難しいのです。

では、いなくなってしまった大昔の星のことは、どうすればわかるのでしょう? 初代星が超新星爆発したあとにできた次の世代の星には、爆発でばらまかれた元素が取りこまれているため、初代星の「足あと」が残っています。まるで、DNAを調べると先祖がわかるようなものですね。天の川銀河に残っている、重い元素(金属)がきょくたんに少ない「超金属欠乏星(ちょうきんぞくけつぼうせい)※注」は、初代星が爆発した後で生まれ、その時の元素の組み合わせが残っていると、研究者は考えています。そしてAIを使って、450個の超金属欠乏星を調べたところ、とんでもないことがわかったのです!
※注:天文学では、水素やヘリウムより重い元素のことを「金属」といいます。ふだんの生活では金属とは言わない炭素、ちっ素、酸素も金属になります。

超金属欠乏星を調べることで、初代星の情報がつかめただけでなく、次の世代の星には、いくつかの初代星の元素が混ざってできているとわかりました。これは、大昔の星はおたがい近いところで爆発したことを物語っています。つまり、初代星はひとりぼっちではなく、集団で生まれたことがわかりました!

研究チームは、今後の観測データから、このAIを使った方法でもっと多くの古い星を見つけ出そうと計画しています。

画像:この研究のイメージ図。研究チームはAIの機械学習を使って、観測データから求められる星の元素量から、星々をひとつの超新星からの元素をとりこんで生まれ星(赤色)と、いくつかの超新星からの元素をとりこんで生まれた星(青色)にわける方法を発明しました。(クレジット:Kavli IPMU)

国立天文台による日本語サイトあり

知っ得ダネ

現在知られている、最も古い星の名前を知っていますか?メトシェラ星といい、てんびん座の方向にある、双眼鏡でも見える星です!予想どおり、メトシェラ星はきょくたんに重い元素が少なく、ビックバンのすぐ後に生まれたと考えられます。

This Space Scoop is based on a Press Release from NAOJ .
NAOJ

この記事は日本の国立天文台からの報道発表によっています。

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