天の川銀河中心の顔写真
2022年5月25日

私たちが住む天の川銀河(銀河系)の中心には、きょ大なブラックホールがひそんでいると、聞いたことがあるかもしれませんね。そして2022年5月に天文学者の国際チームが、天の川銀河の中心にある超大質量(ちょうだいしつりょう)ブラックホール、「いて座A*(エースター)」の写真を初めて公開したのです。

この写真は、そこに本当にブラックホールがあることを、初めて見てわかる形で証明しています。国際研究チーム「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)・コラボレーション」が完成させました。

EHTは、フランス、スペイン、グリーンランド、チリ、アメリカ(アリゾナとハワイ)、メキシコ、南極にある、8台の電波望遠鏡を組み合わせたものです。地球上のあちこちにある望遠鏡が、いっしょに同じ天体を観測することで、遠くにあるブラックホールをくわしく見ることができます。EHTはいわば地球と同じ大きさの「きょ大な」望遠鏡なのです。2019年に公開された、最初のブラックホールの顔写真は、私たちから5300万光年以上はなれたM(メシエ)87銀河にあるM87*でした。

いて座A*は、とても重い天体で、太陽の400万倍の質量があります。しかし、最初に顔写真をとったM87*と比べると約1000分の1の質量とずっと軽く、小さいのです。そのため、たとえ M87* よりもはるかに近く (地球から 27,000 光年のきょり) にあるにもかかわらず、顔写真をとるのは非常にむずかしいのです。

ブラックホールの周りのガスはものすごい速さで動いており、観測中に変化するため、研究チームはスーパーコンピューターを使って観測データを組み合わせて分せきし、最終的な顔写真を完成させました。

このような「顔写真」を作ると、私たちの科学技術が発展しますし、何よりブラックホールのような極限の状態で、どのように重力が働くか、理解が深まります。このような研究と技術により、私たちの宇宙の知識が確実に豊かになっていくのです。

画像:ブラックホールは、光さえもにげ出せないほどの強い重力を持つ天体で、そのため光を出すことはありません。オレンジ色のリングは、その中心部にひそんでいるブラックホールの周りのガスが光っているものです。

国立天文台による日本語サイトあり

知っ得ダネ

この「顔写真」は、いろいろな国の80の機関から集まった300人の研究者が、5年かけて完成させました。本当に大変な仕事でしたね!

This Space Scoop is based on a Press Release from NAOJ .
NAOJ

この記事は日本の国立天文台からの報道発表によっています。

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