かっ色わい星発見の新しい方法
2020年11月10日

  すごいことになりそうです。天文学者は新しい方法を使って、私たちの太陽系の外の惑星をうまく発見できるかもしれないのです。太陽系の外にある系外惑星とよばれる天体です。その特別な新しい方法とは....電波を使った観測です。

かっ色わい星

  宇宙空間にあるガスの雲は、ちぢんでだんだん濃くなると熱くなってきます。そして中心の温度が1000万度もの非常に高い温度になると、その雲のかたまりは一気に輝きはじめ、明るい新しい恒星(こうせい)として生まれかわります。しかし、すべてのちぢんだ雲のかたまりが、恒星になれるほどの高温に達するとはかぎりません。そういう恒星になれなかった星は、失敗した星として知られていて、「褐色矮星(かっしょくわいせい)」と呼ばれます。

  恒星と同じようにかっ色わい星も熱いので、光は自分で出しています。かっ色わい星は赤く光り、人の目に見えない(リモコンでも使われる)赤外線という光で輝(かがや)いています。しかし、かっ色わい星は恒星よりも小さいし、暗くて温度も低い天体です。

成功へつながる共同作業

  天文学では、多くの場合、いくつかの研究組織や天文台の共同研究が、すばらしい結果につながります。今回、ヨーロッパの LOFAR電波望遠鏡(低周波電波干しょう計)と、いずれもハワイのマウナケア山頂にあるジェミニ北望遠鏡とNASA赤外線望遠鏡との共同作業により、 かっ色わい星の中でも比較的低温のものを、電波を使って初めて直接発見することができました。

電波天文学で初めて

  電波は光の一種で私たちの目には見えません。今回の発見で使われたような地上の電波望遠鏡は、惑星や彗星、巨大な星雲やチリ、恒星、そして銀河などを研究するのに使われてきました。それらの天体からやってくる電波を研究することで、天文学者はそれらの天体が何でできているかを知るとか、どのように動いているかがわかります。電波は太陽が出ている昼間でも、そして曇っていたり雨が降っていたりしても観測できるので便利です。

  今までかっ色わい星は、おもに目に見える光を観測する光学望遠鏡や、宇宙にあるチリやガスも通りぬけてとどく赤外線の観測で、まず発見されました。ですから今回のように、初めに電波で発見したというのは電波天文学のすばらしい成果といえます。そしてこのことは、科学者にとってかっ色わい星を発見するすばらしい観測方法というだけでなく、天文学として、電波を使って暗くて低温の系外惑星を発見するという、系外惑星研究への非常にワクワクする新しい第一歩なのです。

画像提供:オランダ電波天文学研究所(ASTRON)/Danielle Futselaar

知っ得ダネ

  かっ色わい星の中心温度は、300万度以下です。これは私たちの太陽と比べると“冷たい”と言えます。太陽の中心温度は、1600万度あります!

This Space Scoop is based on a Press Release from NOIRLab .
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