スパゲッティにされて一巻の終わり
2020年10月12日

宇宙でスパゲッティ??  でもないけど

かたまりが細長くのばされる「ヌードル効果」

  ブラックホールは宇宙で最も強力な天体のひとつです。運わるく星が銀河の中心にある超大質量ブラックホールに近づきすぎると、その星はブラックホールによって引きさかれてしまいます。そして引きさかれるときに星はとっても長くのばされて、細長いめん(麺)のような「ヌードル効果」が見られます。

  天文学者は、この現象を「スパゲッティ化」とか、「ヌードル(めん)効果」と名付けています。

スパゲッティ化のようすをとらえた

  最近、天文学者たちは、地球から約2億1500万光年はなれたところにある星(正式名称:AT2019qiz)が、ブラックホールに乱暴にひきのばされて吸いこまれているようすを、今までになくくわしく観測しました。

  その劇的(げきてき)な出来事を研究するために、天文学者たちは、ヨーロッパ南天天文台(ESO)はじめ世界中のさまざまな研究組織の望遠鏡を使って、星がブラックホールによって引きさかれた後に起こった出来事を観察しました。それは爆発的な光です。

  今回のばく発的な光のかがやきは、今まで観測されたものの中で一番私たちから近いところで起こったものです

潮汐(ちょうせき)効果で、星が引きさかれる

  ブラックホールに近づいた星は、その強力な引力によって前後に細長く引きさかれてしまいます。これは潮汐効果といって、月の引力によって海の水に満ち潮や引き潮が起こされるのと同じ理由です。星は強い引力で細長く引きのばされると、バラバラになってしまいます。このことを天文学者たちは潮汐破壊(ちょうせきはかい)現象とよんでいます。

  この時のばく発的な光のかがやきは、ブラックホールが星を食いつくして、星の残がいをはきだすときに、大量のエネルギーを放出するために起こります。今回の観測では、このばく発的な光が強くなって、やがて6ヶ月の間にだんだん弱くなり消えていくのが観測されました。

画像提供:ESO およびM.Kornmesser

知っ得ダネ

  天文学者たちは、ブラックホールによって破壊(はかい)された星の破片やチリが、ばく発的にふき出ているようすをとらえることができました。それらの物質は、最大で毎秒 1万kmの速度でブラックホールからはき出されています。これは、稲妻(いなずま)の進む約100倍のスピードです。

This Space Scoop is based on a Press Release from ESO .
ESO
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