どっちが先におそくなる?星?それともハンドスピナー?
2017年8月18日

ハンドスピナーは、ヨーヨーやルービックキューブにとってかわる新しいおもちゃです。手の上で長時間くるくる回り続けるようにできていて、集中力をアップするのに役立つようです。あなたが何かに集中できるように、インターネット上には、「ハンドスピナーのしくみ」についての新しい動画や記事であふれています。

くるくる回るしくみは、天文学でも重要なテーマです。たくさんの天体が回転しているからです。例えば、地球は自転軸(じてんじく)のまわりを回転しています。太陽は、私達の銀河(天の川銀河)の中心のまわりを回転しています。そして、宇宙のガスも星が生まれる時に回転しています。天体の回転を調べることで、思いがけない、本当におもしろい話を知ることができます。

星々は、宇宙に浮かぶガス雲から生まれます。雲がちぢみ、ガスのかたまりがより小さく、より濃(こ)く、より熱くなっていきます。そして中心部が1000万度に達すると、燃え上がり、明るい新しい星の誕生(たんじょう)となるのです。

ガス雲がちぢむと回転を始め、小さくなればなるほど速く回るようになります。もしもハンドスピナーで遊んだことがあったら、どんなに速く回っていても、そのうちおそくなり、やがて止まってしまうことを知っているでしょう。それは摩擦(まさつ)がはたらいているからです。

真空の宇宙では、摩擦は地球上に比べてずっと小さく、生まれたばかりの星が速く回転しているようすが見えるはずです。しかし、私たちの宇宙にある重い星々は、思っていたよりずっとゆっくり回っています。では、なぜそんなに回転がおそいのでしょう?

天文学者がその答えを発見したかもしれません。それは、星のまわりから吹き出すジェットです。

アルマ望遠鏡でとられた新しい画像に、重い星から流れ出るガスが見られました。ちょうど上のイラストに描かれているように。ガスは星と一緒に回転しているため、エネルギーを失っておそくなるのです。

なぜおそくなるのかを知るために、椅子(いす)にすわって回ってみましょう。最初は椅子の軸に足をくっつけ、その後外に突き出しましょう。足を突き出すと、回転がおそくなることに気付くでしょう。ガスのジェットは、椅子で回る実演でのあなたの足にあたるもので、それが伸びて星の回転がおそくなるのです。

国立天文台による日本語サイトあり

知っ得ダネ

ハンドスピナーを鼻の上で最も長く回し続けた世界記録は、1分46秒です。あなたはこれに勝てるかな?

This Space Scoop is based on a Press Release from ALMA .
ALMA

この記事は、アルマ望遠鏡からの報道発表によっています。

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