暴走ブラックホールを追いかける
2017年5月24日

目には見えなくて、太陽よりも1億6千万倍も重く、そして動いているものは何でしょう?

それは、新しく発見された暴走中の超(ちょう)大質量ブラックホールです。

超大質量ブラックホールは、その名前のとおり、本当に、本当に重量級のブラックホールです。太陽の何十億倍もでっかく成長し、ものすごい力持ちで、めちゃくちゃな大食らいです。恒星や岩石惑星、光ですら食べつくします。食べられないものは何もありません。

小さなブラックホールは星々の間で見つかりますが、超大質量ブラックホールはふつう銀河の中心にしか見つかりません。ですから、天文学者が銀河の中心からはなれていく超大質量ブラックホールを見つけた時は、びっくりしたのです。

手がかりを追っていくことによって、この異常な行動を引き起こした原因を突き止めたのかもしれません。このブラックホールをふくむ銀河は数百年前、別の銀河との衝突(しょうとつ)にかかわっていました。どちらの銀河もそれぞれが中心に持っていた超大質量ブラックホールを連れながら、やがて落ちついてひとまとまりになり、巨大な銀河になったのです。

しかし、銀河が大きく一つになったからといって、これら大質量ブラックホール2つには、まだ大きさが足りなかったのです。これらの天体の非常に大きな重力は、おたがいがぶつかって一つになるまで引き合ってしまったのでしょう。この激しい衝突は、重力波を送りだし、宇宙空間に「空間のゆがみ」という衝撃(しょうげき)が走りぬけます。

もし、これらの重力波が他の重力波よりもある方向に強く放出された場合、新しくできたブラックホールはその反対方向におしだされ、いわゆる「反動」という効果が生じます。ロケットが始動するときも同じことがおこります。エンジンのノズルから高速で地球に向かってふきだされる排気ガスは、ロケットを反対方向の宇宙に向かっておし上げます。

このようにして、銀河の中心から、新しくできたブラックホールを押し出すような大きな蹴(け)りをあたえたはずです。

知っ得ダネ

私たちの太陽系は、私たちの銀河の中心にある超大質量ブラックホール、いて座 A *(エー・スター)から25,000 光年の距離(きょり)にあります。

This Space Scoop is based on a Press Release from Chandra X-ray Observatory .
Chandra X-ray Observatory
写真
印刷用ページ

もっと知りたい方へ

スペース・スクープとは何?

天文学の発見

つぎの宇宙探検家を励ますこと

スペース・スクープのなかまたち

お問い合わせ