ターザン5の伝説
2016年9月7日

科学者は、特に化石(かせき)分野においては、必ずしも最初に正しく物事をとらえているとはいえません。たとえば、恐竜科学者といわれる古生物学の専門家はたくさんのおかしな勘(かん)ちがいをしました。


ステゴサウルスのような巨大なトカゲが、とっても小さい鳥くらいの大きさの脳しか持っていないとは想像できませんでした。それで、二つ目の脳がおしりに隠(かく)されているはずだと考えました。参考までにいっておくと、これは、まったくのまちがいであることがわかりました。


天文学者もまた宇宙の化石に取り組んでいて、それは恐竜の骨の化石なんかよりずっと、ずっと古くて、その研究は同じようにむつかしいのです。


およそ40年前、この写真に写っているターザン5という球状(きゅうじょう)星団が、発見されました。星が集まった星団には、散開(さんかい)星団と球状星団の2種類があります。天文学者たちは、ターザン5は球状星団であり、同じ材料からできているので、ほぼ同じ時に生まれた何万個もの星たちの集合だと考えました。


しかし、これはたいへんめずらしい星団であることがわかりました。散開星団にせよ球状星団にせよ、すべての星が同時にできるので、それらは同世代の星になります。でも、この星団は、およそ70億年の年齢差を持つ明らかに異なる2つのグループを含んでいるのです。


第2の生まれた星のグループに注目しても、ターザン5という星団は、少なくとも太陽1億個分の材料を持つ巨大な雲として誕生したとしか思えません。


このかわった特徴(とくちょう)から、ターザン5という星団は天の川銀河の形成期からの生きた化石だといえます。おおくの科学者は、ガスの巨大なかたまりが衝突(しょうとつ)しあって、銀河ができるのだと考えています。そして、生まれたての天の川銀河にある化石のような星団から、この考え方が正しいように思えます。

知っ得ダネ

これまでに見つかった生物で最も古い化石は、なんと35億年前のものになります。しかし、宇宙で化石といえるものは、くらべものにならないほど古いのです。最も古いものは134億年も前のものになります。

This Space Scoop is based on Press Releases from ESO , Hubble Space Telescope .
ESO Hubble Space Telescope
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